生体ドナーにおける術後残腎機能規定因子の検討
Factors Related to Suboptimal Recovery of Renal Function after Living Donor Nephrectomy

熊本赤十字病院 外科
* 西田 翔、木下 航平、田中 康介、日 悠嗣、山永 成美
熊本赤十字病院 内科
川端 知晶、濱之上 哲、豊田 麻理子、上木原 宗一
熊本赤十字病院 泌尿器科
 
西田 翔、稲留 彰人
東京歯科大学市川総合病院 泌尿器科
 
西田 翔

【背景】生体ドナー残腎の多くは術後代償性機能亢進により腎機能が術前の6-7割に改善するが、改善しない症例もある。その規定因子を考察した報告は少ない。

【対象・方法】2011年から2016年までに施行した生体腎移植111例のうち, lost to follow upとなった5例及び1時間後生検未3例を除く103例を検討した。非代償群(n=40)を術後1年eGFRが術前eGFRの6割以下の症例と定義し、それ以外の代償群(n=63)と後方視的に比較検討した。

【結果】両群で術前eGFRは同等であったが( 代償群:82.0±13.1mL/min/1.73m2 vs非代償群:83.5±14.8mL/min/1.73m2、P=0.588)、年齢(56.0±10.4歳 vs 60.7±8.7歳,P=0.018)、HbA1c(5.6±0.3% vs 5.8±0.3%,P=0.016)、尿酸値(4.8±1.2mg/dl vs 5.5±1.3mg/dl,P=0.007)は非代償群で有意に高かった。また、非代償群では術後1時間病理生検にてchronicity score(ah≧1かつci ct≧1)を認めた症例が25.0%であり、代償群の6.4%より有意に高かった(P=0.007)。多変量解析では, chronicity score(ah≧1かつci ct≧1, odds ratio(OR): 4.75, 95% confidence interva(l CI): 1.27-17.8, p=0.021)と尿酸(OR: 1.51, 95% CI: 1.06-2.15, p=0.022)が独立因子となった。

【結語】術後1年の代償性腎機能亢進の有無は術前eGFRに関連せず, 組織学的に血管石灰化と線維化のある症例と術前高尿酸血症を有する症例できたしにくい可能性が示唆された。

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