腎移植15年目にcandidaによると推定される真菌性間質性腎炎を認めた1例
A case of interstitial nephritis caused by candida infection 15 years after renal transplantation

国際医療福祉大学熱海病院 移植外科
* 安間 由記、白井 博之、矢嶋 淳、唐仁原 全
国際医療福祉大学熱海病院 病理診断科
  金綱 友木子
三島総合病院 泌尿器科
  平賀 聖悟

【症例】74歳、男性。X-15年に他国で腎移植を受け、X-12年より近医でフォローアップされていた。X年9月、肺炎・心不全の診断で当院に入院した。入院後、肺炎は人工呼吸器管理を必要とするまで増悪した。ニューモシスティス肺炎と診断され、免疫抑制剤を中止し、ステロイドを併用してST合剤の投与行った。その後人工呼吸器から離 脱したが腎不全となり、維持血液透析となった。X年10月、維持血液透析導入後に移植腎生検を施行した。

【生検所見】皮質:髄質6:4、糸球体19ヶ、球状硬化1ヶ。皮質間質は中等度拡大し、尿細管萎縮を伴っていた。間質の数カ所には多核巨細胞を伴った類上皮肉芽腫が形成されていた。この肉芽腫内にはPAS染色にてcandidaと推定される酵母様の真菌が認められた。加えて近位尿細管上皮の空胞変性と小葉間動脈の軽度の内膜線維性肥厚と細動脈も軽度の硝子様硬化がみられ、CNI腎毒性の影響と思われた。

【考察】移植後は免疫抑制剤の管理が重要であるが、過剰免疫抑制状態であると、感染症を引き起こす。今回、腎移植後に、CMV合併のニューモシスティス肺炎を発症したが、同時に移植腎に真菌塊が観察された。免疫抑制が過剰であったことが推測され、臨床症状は呈さなかったが、真菌感染も併発する状態であった。移植腎に偶発的に真菌塊が見られることは極めて稀であり、文献的考察を含めて報告する。

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