扁桃腺摘出後に生体腎移植を施行しIgA腎症の早期再発および進行が認められた一例
A case of rapidly progressive recurrent IgA nephropathy who underwent tonsillectomy before kidney transplantation

東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
* 大木 悠太郎、山本 泉、川邊 万佑子、小林 賛光、神崎 剛、
小池 健太郎、上田 裕之、丹野 有道、大城戸 一郎、坪井 伸夫、
山本 裕康、横尾 隆
東京慈恵会医科大学 泌尿器科
占部 文彦、三木 淳、山田 裕紀、木村 高弘

 症例はダウン症の既往のある39歳男性。9歳時に蛋白尿を指摘され、22歳時腎生検にてIgA腎症と診断された。
X-4年1月に扁桃腺摘出術を実施し、X-4年7月に血液透析導入を経て、X-4年11月に母をドナーとする血液型適合・抗HLA抗体弱陽性の生体腎移植を施行した。腎移植後の血清クレアチニン値は2.2mg/dl前後、蛋白尿は0.1-0.3g程度を推移した。3か月目のプロトコル生検は本人の了承が得られず、移植後7か月目にプロトコル生検を実施したところ、21個の糸球体のうち全節性硬化は1個と小半月体1個のみで、メサンギウム域にIgAとC3の沈着が認められ、IgA腎症早期再発およびBorderline changesと診断された。その後も血清クレアチニン値は2.2mg/dl前後で安定していたものの、移植後1年経過した頃より変形赤血球を伴う血尿が目立つようになった。X-1年1月より蛋白尿0.4g/g・Cr前後と増加が見られたため、X年4月(移植後3年5か月目)にエピソード生検を施行した。病理所見では、20個の糸球体のうち25%の糸球体が全節性硬化であり、残存する糸球体はメサンギウム細胞増生および基質増加を主体とし、20%の糸球体において糸球体係蹄の管内および管外増殖性糸球体腎炎の所見が認められ、活動性のIgA腎症再発を認めた。本例は移植前に扁桃腺摘出術を実施したにもかかわらず、生体腎移植後比較的早期から変形を伴う血尿が見られ、3年5か月という短期間に糸球体病変の進展を認めたという点で稀な症例と考えられ、IgA腎症再発の病態を考える上で示唆に富む症例であり、文献的考察を含めて報告とする。

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