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【背景と目的】近年Nankivellらは抗体関連拒絶反応(ABMR)を含んだ連続年における移植腎生検を解析し、糸球体基底膜C4d(GBM-C4d)沈着が抗ドナー抗体(DSA)と内皮細胞との相互作用、循環DSA、糸球症の重症度、ABMRの病理診断に有用なマーカーであることを提唱している(Nankivell et al. Kidney International Report 2022)。しかしABMRを呈する移植腎組織におけるGBM-C4d沈着の意義は不明なところが多い。Banff 2022改定ではmicrovascular inflammation(MVI)がABMRの病理診断において重要視されている(Naesens et al. American Journal or Transplantation 2023)。今回ABMRを示唆するMVIが観察される移植腎組織における糸球体基底膜C4d沈着の意義について検討することを目的とした。
【方法】2017年1月から2023年5月まで当院で移植腎生検が施行され、血液型不適合移植は除外し、(1)gスコア≧1もしくはptc≧1、(2)HLA同定検査が施行されている89検体を対象とした。DSA陽性の基準は施設基準でMFI≧1000を陽性とした(Arai et al. Nephron suppl 2020)。病理学的スコアはバンフスコアを用い、GBM-C4dスコアに関しては既報(Gasim et al. Transplant international 2017)を参考に4段階(スコア0: 陰性 or ±, スコア1: 1+, スコア2: 2+, スコア3: 3+)で評価した。
【結果】MVIを呈する89検体のうち、GBM-C4dスコア陽性例は47検体(53%)、cg≧1bは33検体(37%)にみられた。GBM-C4d陽性有無の比較では、gスコア、cgスコア、ptc-c4dスコアはGBM-C4d陽性群で有意に高く、ptcスコアは両群に有意差は見られなかった。HLA-DR DSA陽性率はGBM-C4d陽性群で有意に高く、HLA-A DSA、HLA-B DSAの陽性率は両群で有意差がみられなかった。 GBM-C4dスコアはgスコア、cgスコア、ptc-C4dスコアと有意な正の相関がみられ、ptcスコアとは有意な関連がみられなかった。
【結論】MVIを呈する移植腎組織において、GBM-C4d沈着は糸球体基底膜の二重化、糸球体炎の活動性、HLA-DR DSA陽性所見と関連し、ABMRの活動性を反映する可能性がある。 |