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腎移植後巣状分節性糸球体硬化症再発における複数自己抗体の検索
Analysis of multiple autoantibodies in post-transplant recurrent focal segmental glomerulosclerosis |
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東京女子医科大学 腎臓小児科 |
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白井 陽子、三浦 健一郎、堀田 茂、服部 元史 |
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東京女子医科大学 病理診断科 |
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昭和大学医学部 解剖学講座 顕微解剖学部門 |
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聖マリアンナ医科大学 病理学 |
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【背景】我々は、一次性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の移植後再発例(rFSGS)において、抗Nephrin抗体が移植後再発をきたす循環因子の候補であることを報告した(Hattori M et al Am J Transplant 2022、Shirai Y et al KidneyInt 2024)。近年、微小変化型ネフローゼ症候群またはFSGS患者の血清および腎生検検体を用いた検討で、抗Nephrin抗体のほか、抗Podocin抗体、抗Kirrel1抗体の陽性が観察され、抗Nephrin抗体/抗Podocin抗体重複陽性の症例もあることが報告された(Raglianti V et al J Am Soc Nephrol 2025)。一方、rFSGSにおける抗Podocin抗体または抗Kirrel1抗体の関与は明らかではない。
【方法】当科で1986〜2022年に経験したrFSGSのうち、再発中に行われた移植腎生検検体の保存があった延べ19症例を対象とした。19例のうち、治療により10例は完全寛解し、4例は部分寛解を得られ、5例は治療抵抗性を示した。移植腎生検検体を用いてIgGとNephrin、Podocin、Kirrel1の蛍光二重免疫染色を行い、超解像顕微鏡で観察した。14/19例で移植前再発予防処置前または再発診断時の血漿を保存していたため、血漿中の抗nephrin抗体と抗podocin抗体をELISAで定量した。
【結果】18/19例(95%)で、係蹄またはポドサイトにIgGの微細な沈着を認めた。15/19例(79%)で微細なIgGの沈着はNephrinと共局在し、保存血漿があった13例全例で抗nephrin抗体は陽性(cut-off値以上)であった。8/19例(42%)でPodocinと共局在するIgGを認め、保存血漿があった5例全例で血漿中の抗Podocin抗体は陽性であった。7例(37%)はIgGがNephrinおよびPodocinと共局在した。10/19例(53%)でIgGとKirrel1が共局在し、そのうち9例(47%)でIgGはNephrinとも共局在した。さらに6例(32%)はNephrin Podocin Kirrel1全てと共局在するIgGの沈着を認めた。1例(5%)で微細なIgGの沈着を認めたものの3分子のどれとも共局在しなかった。IgG沈着の有無と、沈着したIgGがどの分子と共局在したかは、治療反応性と明らかな関連性はなかった。
【結論】腎移植後FSGS再発において、抗Nephrin抗体のみならず、抗Podocin抗体、抗体Kirrel1抗体の存在が明らかになりつつある。今後、複数の自己抗体が関与する病態を解明する必要がある。 |
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