移植腎における交感神経再生とSASP因子誘導による線維化進展の関連
Association between sympathetic nerve regeneration and fibrosis progression induced by SASP factors in transplanted kidney biopsy tissue

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・外科
* 大木 悠太郎
東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
* 大木 悠太郎、川邊 万佑子、山本 泉、林 綾香、小林 賛光、丹野 有道、山本 裕康、横尾 隆
東京慈恵会医科大学 泌尿器科
* 高橋 和宏、柳澤 孝文、都築 俊介、木村 高弘

【背景】移植腎の特徴の1つは交感神経の分断である。昨年度、我々は移植腎において交感神経の再生が認められ、さらに交感神経再生が間質線維化と関連することを報告した。本研究では、交感神経再生と間質線維化の関連メカニズムについて検証した。
【方法】交感神経再生と間質線維化の機序を解明するため、交感神経再生群の移植後3年および3ヶ月生検を各4例、非交感神経再生群の移植後3年生検を4例対象とし、パラフィン切片からmRNAを抽出した。得られたmRNAを用いて、nCounterシステムの線維化関連パネルを使用したRNA-seq解析を実施した。さらに発現上昇が認められた遺伝子について免疫組織化学染色を施行した。
【結果】交感神経再生群は非再生群と比較して、老化細胞が分泌するSASP (senescence-associated secretory phenotype)因子に関連するPAI-1およびペリオスチンのmRNA発現が上昇していた。また、再生した交換神経線維の走行とペリオスチン免疫染色陽性像の分布に類似性が認められた。
【結論】移植腎における交感神経再生と間質線維化のメカニズムにはSASP因子の関与が示唆され、文献的考察を含めて報告する。

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