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広範な間質出血および動脈内膜炎を認め、アデノウイルス腎症と血管型拒絶反応との鑑別に苦慮した1例
A case of kidney transplant recipient presenting with massive interstitial hemorrhage and
endarteritis which was difficult to differentiate between adenovirus nephropathy and vascular
rejection |
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東京医科大学八王子医療センター 腎臓病センター |
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山口 咲子、内田 貴大、藤井 理恵、山田 宗治、木村 信、 沖原 正章、赤司 勲、今野 理、岩本 整、尾田 高志 |
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聖マリアンナ医科大学 病理診断 |
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山口病理組織研究所 |
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【症例】】70代男性
【現病歴】前立腺肥大症による腎後性腎不全を基礎とした末期腎不全に対して、X-2年4月に妻をドナーとした血液型不適合生体腎移植(A→O、クロスマッチ/DSA陰性)を施行。X-1年に施行したプロトコール生検では有意な所見なく、その後もTAC/MMF/EVR3剤内服下でCr 1.5 mg/dL前後で推移していた。X-1年末から感冒様症状が持続、X年1月より肉眼的血尿も認めた。同月の定期受診時に急激な腎機能の増悪を認め緊急入院。検査所見:U-RBC>100/hpf (非糸球体性)、UP 8.68g/gCr、U-β2MG 52177μg/L、BUN 75.8 mg/dL、Cr 7.9mg/dL、CRP 2.37mg/dL IgG/A/M 1421/414/42mg/dL、補体価正常、ANCA含む各種自己抗体陰性。TAC 4.6 ng/mL、DSA(de novo)DR4(MFI:3669)/DR53(8887)/DQ4(11439)。尿中アデノウイルスPCR陰性。画像所見:CTでは著明な移植腎腫大あり、腎動態シンチにて動脈閉塞や静脈血栓などの血管性病変が疑われる。
【経過】入院同日に腎生検を施行、RPGNを想定してステロイドパルスを開始した。血尿は改善傾向であったが、その後にde novo DSA陽性が判明したため、RTX、DFPP、IVIGによる治療を追加した。腎生検では広範な間質出血とともに、PTCの破壊・消失傾向を認めた。残存したPTCにはC4d(IHC)が陽性であった。小動脈には内膜の浮腫性肥厚と高度の炎症細胞浸潤を認めた。糸球体は虚脱傾向であったが著変は認めなかった。一方でその2週間後に施行した再生検では拒絶反応を示唆する所見に乏しく、大型血管の血管型拒絶反応を否定はできないものの、アデノウイルス腎症の可能性を念頭に、免疫抑制療法を減弱(EVR中止、MMF減量)しているが、Cr6台で推移している。
【考察】感染症による腎症と拒絶反応、いずれも診断の決め手を欠き、最終診断に苦慮している症例である。組織学的な追加解析を実施し発表する。 |
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