半月体形成を認めた急性活動性抗体関連拒絶の一例
A case of acute active antibody-mediated rejection with crescent formation

長崎大学病院 腎臓内科
* 北村 峰昭、辻 清和、西野 友哉
長崎大学病院 泌尿器科・腎移植外科
倉田 博基、松田 剛、望月 保志、今村 亮一

症例は65歳男性。2型糖尿病を原疾患とする末期腎不全に対し、妻をドナーとしたABO不適合先行的生体腎移植を施行した。術前に二重濾過血漿交換(DFPP)2回および血漿交換1回を行い、抗A抗体価は128倍から16倍まで低下した。ベースライン生検では特記すべき異常を認めず、ドナー特異的抗体(DSA)も陰性であった。
術後5日目に血小板減少、LDH上昇、貧血を認め、エピソード生検(1)を施行した(Cr 2.48 mg/dL)(図表1)。糸球体炎および傍尿細管毛細血管炎に加え、間質出血を認め、急性活動性抗体関連拒絶(ABMR)が疑われたが、DSAの出現は認めなかった。
血漿交換、リツキシマブ投与、IVIgを施行したが腎機能の改善に乏しく、術後22日目にエピソード生検(2)を施行した(Cr 2.75 mg/dL)(図表2)。糸球体炎および傍尿細管毛細血管炎は持続し、メサンギウム融解および糸球体係蹄内の血栓形成を認め、血栓性微小血管症(TMA)を伴うABMRと診断した。その後も治療を継続し、最終的に血漿交換15回、ステロイドパルス療法3回、リツキシマブ1回投与、IVIgを2回行った。
腎機能は徐々に改善したが、治療効果判定のため術後47日目にエピソード生検(3)を施行した(Cr 1.38 mg/dL)(図表3)。糸球体炎は持続していたものの、メサンギウム融解は軽減していた。一方、11個中4個の糸球体に細胞性半月体形成を認め、急性活動性ABMRによる高度な内皮障害により係蹄壁が破綻した結果と考えられた。
現在、Cr 1.27 mg/dLで安定しており外来通院中である。急性活動性ABMRにより半月体形成に至った症例はこれまでに2報告のみであり、本症例は半月体形成に至るまでの経時的変化を観察し得た貴重な症例と考え報告する。

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