クロスマッチ陽性生体腎移植症例の臨床病理学的検討
Clinical and Pathological Analyses of Living Donor Kidney Transplantation Cases with Positive Crossmatch

東京女子医科大学 移植管理科
* 清水 朋一、林田 珠奈、齋藤 彩香、海上 耕平、石田 英樹
東京女子医科大学 泌尿器科
清水 朋一、林田 珠奈、齋藤 彩香、海上 耕平、石田 英樹、岡田 大吾、八木澤 隆史、平井 敏仁、高木 敏男

【緒言】今回我々のクロスマッチ陽性生体腎移植症例について臨床病理学的に検討した。
【方法】東京女子医科大学泌尿器科において、2020年1月から2024年12月までにリンパ球細胞傷害性試験法クロスマッチ(CDC)陽性またはフローサイトメトリークロスマッチ(FCXM)陽性症例は39症例であった。2026年3月までのフォローアップ期間について調べた。
レシピエントは、男女比は13例:26例、移植時平均年齢53.6歳。血液型適合、不一致、不適合はそれぞれ10例、9例、20例。
CDCについてはT細胞陽性は無く、B細胞陽性は10例であった。FCXMについてはT細胞陽性は21例で、B細胞陽性は38例であった。ドナー特異的抗体(DSA)陽性は36例。
腎移植前の減感作療法については、全例に血漿交換とrituximab投与を施行、高用量γグロブリン静脈注射(IVIG)を37例に施行した。
【結果】腎移植後に透析を要した移植腎発現遅延は2例に認められた。
腎移植後移植腎機能に関しては、eGFRで3ヶ月後平均45.5 ml/min、6ヵ月後平均46.8 ml/min、1年後 46.3 ml/minであった。
腎移植後臨床的に拒絶反応を27例に認めた(腎移植後2〜444日)。抗体関連型拒絶反応(ABMR)を25例に、T細胞関連型拒絶反応(TCMR)を2例に認めた。拒絶反応時に移植腎生検は23例に施行されていた。エピソード生検は4例、プロトコール生検は19例であった。
経過観察中に移植腎喪失は4例にあり、2例は死亡例、1例は巣状糸球体硬化症の再発、1例のみchronic active ABMR(CABMR)が原因であった。
腎移植後の移植腎生検は37例に74回施行した。プロトコール生検67回、エピソード生検5回、フォローアップ生検が2回であった。
74回の生検にて、拒絶なしが20回、active ABMRが33回、CABMRが18回、acute TCMRが1回、あとの2回がmixed rejectionであった。
腎移植後1年以降の移植腎生検については、31例に施行されており、病理診断として、拒絶なしが12例、CABMRが11例、active ABMRが8例であった。
【結論】クロスマッチ陽性症例などのハイリスク症例であっても、適切な腎移植前の減感作療法を施行していれば短期間ではあるが比較的良好な成績をおさめることがわかった。
しかしながら、ABMRなどの拒絶反応を6〜7割に認めた。腎移植後1年以降で考えると、ABMRが5割に認められ、その上CABMRも3割に認められた。
特にABMR症例の動向など、今後長期にわたるフォローアップが必要であると考える。

戻 る  ページの先頭