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【背景】抗体関連型拒絶反応(ABMR)はドナー特異的抗HLA抗体(DSA)を背景とすることが多いが、DSA陰性ABMRの存在が知られており、その病態としてnon-HLA抗体の関与が注目されている。しかし、その因果関係については未だ明確ではない。今回、免疫学的低リスクでありながら、ABMRを発症し、non-HLA抗体の関与が示唆された2例を経験したため報告する。
【症例】症例1)55歳男性、症例2)43歳男性。両症例とも感作歴なく、移植前DSA陰性、FCXM陰性、Flow PRA陰性であった。症例2のみ血液型不適合移植である。
【経過・病理所見】症例1は移植後早期にCr上昇を認め、POD4に開放腎生検を施行した。急性活動性ABMR(g2, v1, ptc2, C4d-)と診断した。再検したHLA抗体検査は陰性であり、non-HLA抗体としてHNRNPK抗体、REG3A抗体の陽転化を認めた。ステロイドパルス、血漿交換、リツキシマブ、IVIgによる治療を行い、速やかな腎機能改善を得た。
症例2は移植後9ヶ月でCr上昇を認め、腎生検でABMR(g3, v1, ptc3, C4d+)と診断した。こちらも再検したHLA抗体検査は陰性であり、non-HLA抗体検査としてCXCL9抗体、GDNF抗体、REG3A抗体の陽転化を認めた。症例1と同様の治療を実施し、治療後移植腎機能は速やかに改善が得られている。
【考察】本症例はいずれも免疫学的低リスクかつDSA陰性でありながら、典型的な微小血管炎症(MVI)を伴うABMRを呈している。non-HLA抗体は内皮障害を介して微小血管障害を惹起し得るとされ、本症例でも複数の抗体の陽転化を認めたことから、non-HLA抗体の関与が示唆される。一方で、これら抗体が病態のドライバーであるのか、あるいは組織障害に伴う二次的現象に過ぎないのかは明らかでない。また、未検出の低力価DSAや非典型的抗体の関与も否定できない。したがって、DSA陰性ABMRにおいては形態学的所見に基づく診断が最も重要であり、non-HLA抗体はその解釈を補助する仮説的因子として慎重に位置づける必要がある。本症例は、免疫学的低リスク例においてもABMRが発症し得ること、およびその病態解明にはさらなる検討が必要であることを示唆する。 |