抗抗体関連型拒絶における糸球体炎(g)の再定義:
毛細血管閉塞の有無と炎症細胞数の定量的解析
Redefining Glomerulitis (g) in Antibody-Mediated Rejection: Quantitative Analysis of Inflammatory Cell Counts With and Without Capillary Occlusion

市立札幌病院 病理診断科
* 山口 貴子、中桐 悠一郎、眞田 美和、古屋 充子、辻 隆裕
市立札幌病院 腎臓移植外科
田邉 起、佐々木 元、太刀川 公人、原田 浩
はらだ腎泌尿器クリニック
原田 浩
札幌北楡病院 腎臓移植外科
三浦 正義
札幌医科大学医学部 泌尿器科学講座
田中 俊明

【背景】Banff分類において、糸球体炎(glomerulitis; g)は傍尿細管毛細血管炎とともに、抗体関連型拒絶反応の診断基準の中核となる光顕所見の1つである。糸球体炎は「炎症浸潤および内皮細胞腫大による1本以上の糸球体係蹄の完全または部分的な閉塞」と定義されており、現行のBanff分類では炎症細胞浸潤のみを認める場合はg病変に分類できない。
【方法】市立札幌病院で2020年1月から2025年12月に診断された移植腎生検検体(2448例)のうち、移植糸球体症(cg)、T細胞拒絶反応、境界型病変、ポリオーマウイルス腎症の併存あるいは既往のある症例を除き、活動性抗体関連拒絶反応と診断あるいは疑われた症例は28例であった。28例のうち、傍尿細管毛細血管炎のみの3例を除いた25例を移植後6ヶ月以下(6ヶ月を含む)、6ヶ月より後に分けたところ、前者は14例、後者は11例であった。また、対照群は同期間の1年定期生検検体でNo specific changesと診断された症例12例とした。
【結果】g0-3の平均は、対照群、6ヶ月以下、6ヶ月より後それぞれで、g0, g1.79, g1.73であった。糸球体係蹄内の最大炎症細胞数(平均)はそれぞれ4個(2.17個)、32個(12.57個)、25個(12.55個)であった。内皮細胞腫大を伴う係蹄の不完全閉塞・完全閉塞が観察された症例はそれぞれ0/12例(0%)、8/14例(57.1%)、4/11例(36.4%)であった。
【考察】従来のBanff分類のg病変の定義に加え、炎症細胞浸潤数に基づいた糸球体病変を含むことで、活動性抗体関連拒絶反応の診断精度の向上につながる可能性がある。

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