|
【背景】我々は、一次性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の移植後再発例(rFSGS)において、抗nephrin抗体が移植後再発をきたす循環因子の候補であることを報告した(Hattori M, et al, Am J Transplant, 2022、Shirai Y et al, Kidney Int, 2024)。近年、微小変化型ネフローゼ症候群またはFSGS患者の血清および腎生検検体を用いた検討で、抗nephrin抗体のほか、抗podocin抗体、抗Kirrel1抗体の関与が報告されているが(Raglianti V et al, J Am Soc Nephrol, 2025)、rFSGSにおける抗podocin抗体または抗Kirrel1抗体の関与は明らかではない。
【方法】多施設共同研究で、1986〜2025年に経験したrFSGSのうち、再発中の移植腎生検検体または血清が得られた28症例を対象とした。28例のうち、治療により17例は完全寛解し、4例は部分寛解を得られ、7例は治療抵抗性を示した。移植腎生検検体を用いてIgGとnephrin、podocin、Kirrel1の蛍光二重免疫染色を行い、超解像顕微鏡で観察した。17/28例で再発中の血清/血漿が得られ、血漿中の抗nephrin抗体, podocin抗体, 抗Kirrel1抗体をELISAで定量した。
【結果】26/28例(93%)で、係蹄またはポドサイトにIgGの微細な沈着を認めた。微細なIgGの沈着は21/28例(75%)でnephrinと、11/28例(39%)でpodocinと、12/28例(43%)でKirrel1と共局在し、6例(21 %)はnephrin, podocin, Kirrel1全てと共局在するIgGの沈着を認めた。28例中17例で血清/血漿が得られ、抗nephrin抗体は15/17例、抗podocin抗体は1/17例、抗Kirrel1抗体は1/17例で陽性で、組織の結果と概ね一致した。自己抗体の種類や複数の自己抗体を有することと、治療反応性に明らかな関連性はなかった。
【結論】腎移植後FSGS再発において、抗nephrin抗体のみならず、抗podocin抗体、抗Kirrel1抗体の存在が明らかになりつつある。今後、複数の自己抗体が関与する病態と意義を解明する必要がある。 |