診断に苦慮したChronic active T cell mediated rejectionの2例
Two cases of difficult-to-diagnose chronic active T cell mediated rejection

新潟大学医歯学総合病院 腎泌尿器病態学分野
* 池田 正博、田埼 正行、池田 多朗、石川 晶子、齋藤 和英、大澤 崇宏
新潟大学医歯学総合病院 腎・膠原病内科
伊藤 由美、今井 直史、山本 卓

【症例1】17歳男性。乳児ネフローゼ症候群(びまん性メサンギウム硬化症)を原疾患とする末期腎不全に対し、X-9年に母をドナーとしたABO血液型一致生体腎移植を施行した。移植後3ヶ月でCr上昇を認め、移植腎生検でBorderline changeおよびCNI toxicityと診断しステロイドパルス療法を施行した。その後一時的に改善したが、移植後6ヶ月の生検では明らかな拒絶所見はなく、線維化および虚血性変化を認めた(図1:t1、i0、ti0、i-IFTA0)。以後数年間は比較的安定していたが、X-3年にCr上昇を認め、生検で線維化進行と軽度炎症細胞浸潤を認めたものの拒絶反応とは診断されなかった(図2:t1、i0、ti0、i-IFTA2)。その後、X-2年の生検でChronic active TCMR IB(図3:t1、i0、ti3、i-IFTA3)と診断された。ステロイドパルス療法およびATG投与を行うも効果は限定的で、免疫抑制調整後も腎機能は進行性に悪化し、X年に再移植に至った。その際の一次移植腎生検では線維化の進行と高度炎症細胞浸潤を認めた。
【症例2】17歳女性。乳児ネフローゼ症候群(びまん性メサンギウム硬化症)を原疾患とし、X-5年に父をドナーとしたABO血液型一致生体腎移植を施行した。X-4年の生検では拒絶所見はなくCNI toxicityを認めた(t2、i0、ti0、i-IFTA0)。X-2年の生検ではBorderline change(t1、i1、ti3、i-IFTA3)と診断しステロイドパルス療法を施行した。さらにX年の生検ではSuspicious(Borderline)for Acute TCMR(t1、i3、ti3、i-IFTA2)を認め、再度ステロイドパルス療法を施行した。現在も腎機能低下傾向を認めつつ経過観察中である。
【考察】近年、i-IFTAはBanff分類において拒絶反応の診断基準を満たさない場合でも、移植腎予後不良と関連することが報告されている。一方、Borderline changeに対する治療介入の適応については一定のコンセンサスが得られていない。本症例のように、明確な拒絶反応と診断されない段階からi-IFTAの進行や炎症所見を認めた場合、どの時点で積極的治療介入を行うべきであったかは臨床的に重要な課題である。これら2症例を通じて、i-IFTAおよびBorderline changeの臨床的意義と治療戦略について検討する。

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