慢性活動性T細胞拒絶反応の臨床病理学的特徴に関する後方視的検討
Clinicopathological characteristics of chronic active T-cell mediated rejection: A retrospective study

東京慈恵会医科大学 病理学講座
* 本間 志功、城 謙輔、下田 将之
東京慈恵会医科大学 病理学講座
山本 泉、川邊 万佑子、神崎 剛、上田 裕之、坪井 伸夫、横尾 隆

慢性活動性T細胞拒絶反応(chronic active T-cell mediated rejection, 以下CATCMR)は近年診断基準が整理された疾患概念である。Banff(2022)によれば、CATCMR Grade I は, 中等度以上の間質線維化領域の炎症細胞浸潤(i-IFTA2-3)と中等度以上の尿細管炎(t2-3/t-IFTA 2-3)により診断される。CATCMR Grade II では上記所見に加えて慢性移植動脈症(動脈の新生内膜)を認める。しかし, 診断にあたってその形態的基準は一定していないと思われる。
そこで、当院で2021年1月〜2026年3月に施行された移植腎生検187例からCATCMRと診断された6例(3.2%)を後方視的に検討した。移植後の期間は中央値 44.5カ月。プロトコール生検が3例(50%)、エピソード生検が3例(50%)。診断時のeGFRは平均 41.3 mL/min/1.73m2。Grade IAが4例(67%)、Grade IBが2例(33%)、Grade IIは0例。間質線維化・尿細管萎縮(IFTA)の程度は中央値45%、炎症細胞浸潤の割合(tiスコアに相当)は中央値45%、糸球体硬化率は中央値6%であった。尿細管炎について、4例(67%)はt≧2, 2例(33%)はt=0かつt-IFTA≧2であった。合併症に関して、3例(50%)に細動脈における慢性CNI毒性、1例(17%)に活動性抗体関連型拒絶の合併がみられた。過去の移植腎生検において、3例(50%)はborderline for aTCMR(1例 t2i1、2例はt1i0)、1例はCATCMRと診断されていた。予後に関して、観察期間(最終外来日または透析導入までの期間)は中央値36カ月で、5例(83%)は現在も移植腎機能を保持しており、1例(17%)は透析再導入となった。
CATCMRは、従来のaTCMRと比較して、線維化領域の尿細管炎を示すt-IFTAが診断基準に加えられている。すなわち、尿細管炎(t)が持続した場合に線維化を誘発し、それがt-IFTAに移行することが想定される。従って、tが残存するも未だt-IFTAを伴わず、i-IFTAにtが加わる症例がCATCMRと診断されるべきかが問題となる。このような症例において、将来t-IFTAに移行するかどうかについて今後追生検による検討が課題となった。また、tにおいては周囲間質の線維化も重要な判断材料となった。さらに、臨床的に腎機能低下にどの程度影響するかも検討の余地があった。

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