移植後3年目に再燃をみた半月体形成性腎炎の1症例

大阪大学 第1内科、同 泌尿器科、桜橋循環器クリニック
* 岡  一雅、京  昌弘、高原 史郎、小角 幸人、土岐 清秀
守山 敏樹、長門谷 克之、中村 弘之、杉浦 寿央、和泉 雅章
今井 圓裕    

<症例>  19歳男性。1991年急激な腎機能低下出現し、腎生検にて半月体形成性腎炎と診断される。カクテル療法を受けるが徐々に腎機能低下し、1992年CAPD導入となる。1996年父親から生体腎移植。移植後8日目にて急性拒絶反応を認めたがデオキシスパガリン(DSG)にて軽快する。以後シクロスポリン200mg、ミゾリビン250mg、プレドニゾロン5mgにてs-Cr1.0mg/dlと安定していた。1998年4月20日、下肢の腫脹、疼痛、発熱出現。近医にて蜂窩織炎と診断され、抗生剤投与により解熱するが、s-Cr3.0mg/dlと上昇したため4月30日入院。晩期急性拒絶反応を疑い、5月1日よりDSG300mg×7日、メチルプレドニゾロン500mg×2日投与したが、腎機能はさらに低下し5月8日の時点でs-Crは4.0mg/dlとなった。入院時施行した腎生検の所見は半月体形成性腎炎であっため、原疾患の再発を疑い、さらに2回のステロイドパルス療法を追加、後療法としてプレドニゾロン50mg/日を投与し腎機能の回復を試みた。投与後、腎機能は改善し、6月25日にはCr1.1mg/dlとなり退院。1992年の保存血清のC-ANCAが24EUと高値であり、今回の腎機能低下の原因はC-ANCA関連腎炎の再燃と考えた。
<考察>  移植後に再発した半月体形成性腎炎の一例を経験した。移植腎における急激な腎機能低下の原因として、ANCA関連腎炎の再燃も考慮する必要があると考えられた。

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