二次性副甲状腺機能亢進症を伴い組織所見で著しい尿細管内カルシウム沈着を認めた生体腎移植の一例

新潟大学 第二内科
* 井口 清太郎、新保 淳輔、風間 順一郎、斎藤 亮彦、島田 久基
上野 光博、西  慎一、下条 文武
新潟大学 泌尿器科
斎藤 和英、高橋 公太

 症例は50歳の女性。1986年血液透析に導入、1988年父親をドナーとする生体腎移植を受けたが1997年血液透析に再導入された。この頃から続発性副甲状腺機能亢進症(2oHPT)を指摘されたが無治療だった。1999年10月頃より関節痛が出現し、ビタミンDパルス療法を施行されたが無効だった。2000年1月5日夫をドナーとして生体腎移植を受けた。免疫抑制薬はタクロリムスを使用した。術後第3病日に血清Creが増加、拒絶と考えOKT3、プレドニゾロンパルス療法を施行した。術後12日、移植腎を腎生検し軽度の間質への細胞浸潤と尿細管炎、尿細管腔内の石灰化を認めた。石灰化の部位は主に遠位尿細管であった。術後、2oHPTは持続しIntact-PTH、血清カルシウム値は高値だった。2oHPTのキャリーオーバーによる術後高カルシウム血症は時に散見され、本症例の石灰化も高カルシウム血症が原因と考えられた。


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