急性血管型拒絶反応(AVR)で機能廃絶した腎移植例の臨床病理学的検討

聖マリアンナ医科大学 病理学
* 小池 淳樹
東京慈恵会医科大学柏病院 病理部
山口  裕
東京女子医科大学 腎センター
堀田  茂、田辺 一成、渕之上 昌平、東間  紘、二瓶  宏

 AVRで移植腎機能が廃絶に至った症例(HD群)に注目し、その臨床病理学的な特徴を検討した。対象は、最近6年間に女子医大腎センターで生検で診断し得たAVR42例で、これらの予後からHD群7例、血清クレアチニン(sCr)の上昇を来した11例(RF群)、及びsCrが正常の24例(F群)の3群に分類した。腎生検の組織学的検索からBanff分類のv、g、i、t 因子とドナー年齢を加え、3群間の比較を行った。 結果;HD群はv1-2であり,g2-3のが6例あるが、g-0でi、tが優位な症例もあった。幅の広い尿細管障害像を1/3に認めた.v、g、i、tにおいて、HD群が他に比し有意に高頻度である因子はなかった。HD群はドナー年齢でF群に比較し、有意に高齢(平均61.3 vs50.9歳)であった。以上、 AVR例の予後の組織学的予測因子ではvや尿細管障害が関係するが,ドナー年齢も関与すると考えられた。

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