移植腎Protocol biopsy の経験より得られたChronic allograft nephropathy(CAN)への進展因子

桜橋循環器クリニック
* 京  昌弘
大阪大学 器官制御外科学
土岐 清秀、高原 史朗、田中 俊之、小角 幸人、奥山 明彦
大阪大学 病態情報内科学
岡  一雅

 1994年以降に、大阪大学泌尿器科および関連施設において施行したProtocol biopsy 30例、No-episode biopsy71例を対象として病理組織学的検討を行い、移植腎CANへの進展因子について検討した。これらの腎生検では、AR、薬剤性腎障害、動脈硬化性病変、IgA腎症、CAN等なんらかの病理組織学的所見を示すことが多く、ほぼ正常所見を示したのは約20%であった。その後のCANへの進展に最も関与すると考えられる所見はARで、腎機能検査値異常を示さないSubclinical rejectionであるが、病理組織学的にAR1aより強い所見を示した3症例中2例は、治療にもかかわらずその後の腎生検でCANに進展し、AR-borderを示した6症例は治療を行わなかったが、そのうち1例ものちにCANに進展した。また、腎間質細胞のSMαAの発現率が移植腎機能悪化群で高い傾向にあり、SMαAの発現率は移植腎機能障害の進行を予測する可能性を示した。

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