定期移植腎生検における組織学的拒絶反応の長期予後に与える影響とanti-rejection therapyの意義

総合太田病院 腎臓内科
* 宮城 盛淳
総合太田病院 泌尿器科
杉山  健、平山 順朗
東邦大学 腎臓学
酒井  謙、岩本 正照、森  義明、谷本 浩之、柴 潤一郎
新井 兼司、相川  厚、水入 苑生、小原 武博、長谷川 昭
東邦大学 病理学第2
石川 由起雄

【背景】 機能良好な移植腎の定期生検において、潜在性の組織学的拒絶反応が観察されるが、その移植腎長期予後に与える影響およびかかる変化を呈する症例に対するanti-rejection therapyの有用性については明確でない。
【目的】 移植後退院前定期移植腎生検における組織学的急性拒絶反応の移植腎長期予後に与える影響と境界域以下の軽度の拒絶反応を示す症例に対するanti-rejection therapyの有効性を明らかにすることを目的とした。
【患者及び方法】
1986年1月から97年10月までに東邦大学腎臓学教室で腎移植を施行した209例中129例を対象とした。全例に対し施行した定期生検の所見により、Acute rejection(AR)群;14例、Borderline(BL)群;27例、Less than borderline(LBL)群;22例、No rejection(NR)群;64例に分類し、各群の移植後5年生存率を比較した。更に、BL, LBL両群については、anti-rejection therapyの治療群、非治療群に分類し、移植後1年後の移植腎機能を比較した。
【結果】 移植後5年生着率はAR群;62%, BL群;72%, LBL群;75%, NR群;88%と組織学的重症度に準じて移植腎長期予後は不良であった。BL, LBL両群での治療群の1年後血清Cr値は1.40mg/dl, 非治療群1.63mg/dlと非治療群で高値であった。
【結論】 移植後退院前定期生検による組織学的拒絶反応の検討は長期予後類推に有用であり、境界域以下の症例に対するanti-rejection therapyは慢性移植腎機能低下の進展阻止に有用である可能性が示唆された。

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