高血圧がおよぼす腎慢性拒絶反応への影響
(ラット慢性拒絶反応モデルにおける検討)

済生会中津病院 泌尿器科
* 日下  守
大阪医科大学
上田 陽彦、勝岡 洋治
ハーバード大学
N.L Tilney

【目的】 高血圧は慢性拒絶反応のリスクファクターとして知られているが、その作用機序に関しては未だ明らかでない。我々は血圧上昇がグラフト内の接着因子、サイトカイン等を誘導し慢性拒絶反応を促進するという仮説のもとGold Blattの腎血管性高血圧モデルをラット腎移植慢性拒絶反応モデルに応用し検討を行った。
【方法】 F344-Lewの同所性左腎移植を行い移植後4週に対側の右腎動脈に0.25mm径のsilver clipを留置し(clip群)非留置群(control群)と比較した。
【結果】 clip群 ではclip後1週目から血圧上昇(収縮期血圧160mmHg以上)が認められ尿蛋白もclip後4週目から有意に上昇した。グラフト内の動脈変化はclip後4週目ですでに進行しており、MHCclassII, TNF-a, TGF-b, PDGF-b, VEGF等が優位に発現し、24週目には著しい 血管内皮の増殖と間質の線維化、および糸球体硬化がみられた。control群では、血圧、尿蛋白ともに正常で、グラフト内の組織学的変化も微小であった。この血管内皮の増殖はisograftには見られなかった。
【結語】 本実験では特に著しい血管内皮の増殖が移植後早期からアロに特異的に認められた。高血圧は慢性拒絶反応を促進させる重要なリスクファクターとして再認識される必要がある。

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