一次、二次移植ともC3沈着症を呈した一例

東京女子医科大学 腎臓小児科
* 渡辺 誠司、服部 元史、鈴木 俊明、松本 尚子、近本 裕子
池添 正哉、白髪 宏司、伊藤 克己
東京女子医科大学 泌尿器科
徳本 直彦、田辺 一成、東間  紘
東京女子医科大学 腎センター検査科
堀田  茂
東京慈恵会医科大学柏病院 病理
山口  裕

 一次、二次移植ともメサンギウム(M)主体にC3が沈着し、二次移植で持ち込みC3沈着症がみられた特異な例を経験した。
【症例】 38歳男性、原疾患不明。26歳:職場検診で、血尿、蛋白尿、腎機能低下で発見され、30歳:透析導入。33歳:母をドナーに生体腎移植。CyA腎毒性による巣状糸球体硬化症のため再び腎不全に陥った。38歳時父をドナーに二次移植を行った。一過性に軽度のC3の低下が認められた。
【組織所見】
0hrでは、一次M域にIgA(+)、C3(-)、二次M域にC3(+)。二度の移植とも、増殖はなく、M域の拡大、係蹄壁の肥厚、二重化がみられ、IgA(-)、C3(+)。C3は徐々に染色強度を増した。一、二次とも電顕では、Hump、膜内沈着物が散在した。
【考案】 二度の腎移植でM域にC3沈着症を呈した一例を経験した。持ち込みのC3沈着症で家族性が疑われ、膜性増殖性糸球体腎炎の初期像の可能性も考えられた。

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