腎移植拒絶反応における尿中ドナー由来DNA検出の診断的意義

東北大学大学院 先進外科
* 大河内 信弘、張  志宏、桜田 正寿、水野  豊、里見  進
仙台社会保険病院 外科
岡崎  肇

 腎移植において急性拒絶反応の確定診断は臨床症状、生化学的変化からだけでは困難であり、最も信頼のおける手段である組織診断は検体採取後2〜3日かかるという問題がある。我々は、腎移植後急性拒絶反応を疑った際、尿中ドナー腎由来の細胞のDNAを検出することによって、拒絶反応の診断を無侵襲的、かつ迅速に行うとする新しい診断方法を試みたので報告する。
 研究対象は仙台社会保険病院において腎移植を受け急性拒絶反応を起こした患者22例で、これらのうち16例は病理組織で診断を確認した。安定期にある移植患者37例を対象とした。また、薬剤性腎障害5例についても検討をおこなった。急性拒絶反応を疑われた時点で尿を採取し、PCR増幅及び電気泳動によって尿中ドナー由来のDNAを検出し、急性拒絶反応の有無、治療後の変化につき検討した。
  本研究でDNA検出に用いた方法は高感度のPCR法であるPCR-SSP法であり、全ての移植患者の尿からDNAを抽出することができた。DNA分析の結果 、安定期患者ではドナー細胞由来のDNAは約90%の症例で陰性であり、一方、急性拒絶反応時では、ドナー細胞由来のDNAは90〜100%の症例で陽性であった。また薬剤性腎障害5例のPCR結果 は全例陰性であった。急性拒絶反応を起こした症例では、拒絶反応治療後ドナー細胞由来のDNAも消失した。今回用いたPCRによる尿中ドナー細胞由来のDNA検出法は、本測定法は採尿から結果 が取られるまでの全過程で3〜4時間と短く、腎移植後の急性拒絶反応の診断に応用可能であると考えられた。


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