著明な尿細管基底膜内depositを伴った慢性拒絶反応の1例

佐久総合病院 臨床病理
* 塩澤  哲
国立松本病院 病理
中沢  功
信州大学 医学部 第2内科
市川  透
信州大学 医学部 病理学教室
重松 秀一

尿細管基底膜depositはLupus nephritisなどの腎疾患で時に観察され、腎移植後にも稀にみられることが知られているが予後などには影響は少ないとされている。今回我々は腎移植から3年後の腎生検で多量の尿細管基底膜内depositを認めた症例を経験したので報告する。
【症例】 30才男性。
【現病歴】
高校生の頃からタンパク尿を認め、徐々に腎機能が悪化した。腎生検は施行されておらず原疾患不明のまま1994年血液透析導入された。96年母親をdonorとしてABO不適合の腎移植を受けた。移植後1hour biopsyでは動脈硬化以外に特に病変を認めなかった。急性期に特に問題はなく、PSL, CyA, Mizoribineの投与にて経過観察されており、creatinin1.5〜1.6mg/dlで推移していたが、99年帯状疱疹にて入院した際に腎生検を施行された。
【組織所見】
光顕では8個の糸球体が観察され、うち2個はglobal sclerosisを示した。1個の糸球体は係蹄が虚脱傾向を示し、虚血性変化と思われた。間質炎はあるものの明らかなtubulitisは認めなかった。小葉間動脈には顕著な線維性内膜肥厚とelastosisを認め慢性拒絶反応があるものと判断した。蛍光抗体法では糸球体には有意な発光を認めなかったが尿細管基底膜に沿ったIgG, C3の微細な顆粒状から線状の沈着を認めた。電顕ではdepositは尿細管基底膜内に大量に存在しており、一部で尿細管基底膜の多層化を伴っていた。


戻 る  ページの先頭