PTLDを疑わせる著明な形質細胞浸潤を認めた急性拒絶反応の1例

東京女子医科大学 腎臓小児科
* 永渕 弘之、服部 元史、渡辺 誠司、鈴木 俊明、白髪 宏司
伊藤 克己
東京慈恵医科大学柏病院 病理
山口  裕

【症例】 14歳女児。原疾患は原発性巣状糸球体硬化症。44歳父をドナーとする生体腎移植を施行した。ドナーが手術直前に左尿管結石を合併し、術中に左尿管の切石術も行われた。血液型不一致(A→AB型)移植で、初期免疫抑制はタクロリムス、ソルメドロール、アザチオプリン、アールブリンを用いた。移植後10日目(POD10)に血清Cr0.9→1.1mg/dlと上昇し、第1回目の腎生検を施行。間質への形質細胞の境界明瞭で密な集簇が目立ったものの、尿細管炎および血管炎は軽度であった。また、一部に間質の線維化や尿細管萎縮を認めた。さらに、抗B抗体の上昇を認め、溶血性貧血を合併した。急性拒絶反応(AR)と診断したがPTLDも否定できず、ソルメドロールパルスおよびデオキシスパーガリンを開始するとともにタクロリムスを減量 、血清Crは1.0mg/dlに低下し、POD17に第2回目の腎生検を施行した。前回の腎生検でみられた形質細胞の密な集簇は著明に減少し、尿細管炎を主体とする急性拒絶反応の所見であった。
【考察】 形質細胞優位なAR(plasma cell-rich AR)の報告は散見されるが、EBウイルスとの関係は明確ではない。今回のエピソードでは・plasma cell rich AR、・PTLDの鑑別が中心となったが、ドナー由来リンパ球の反応性増殖や移植直前の尿管結石による間質炎が病理所見を修飾した可能性も考えられた。ARとPTLDでは治療法が正反対になるため、治療法の選択に苦慮した症例であった。

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