献腎移植後早期より高度の蛋白尿を認めた1例

藤田保健衛生大学 泌尿器科
* 伊藤  徹、佐々木 ひと美、窪田 裕輔、泉谷 正伸、石川 清人
星長 清隆
同 腎内科
杉山  敏

 症例は50才男性。原疾患はIgA腎症で透析歴は3年。4年前に頭部外傷にて死亡した19才の男性より腎提供をうけ腎移植をおこなった。HLAミスマッチ数はAB1, DR0, WITは3分、TITは715分、術後のATN期間は4日であった。腎移植後2回の急性拒絶反応を認め、いずれも治癒した。退院後血清クレアチニン0.9mg/dl前後で安定し、高血圧も認めなかったが、移植後3ヶ月頃より、1日に2g程度の蛋白尿を認め、腎生検を施行した。軽度の間質への単核球の浸潤、尿細管炎等を認め、軽度の急性拒絶反応と診断されたため、ステロイドパルスにて治療したが、蛋白尿が続き、腎生検を施行。再び軽度の尿細管炎を認めるも、前回より間質の繊維化が進行していた。その後も蛋白尿が続き最大1日15g程度の蛋白尿を認めた。浮腫、低蛋白血症は認めなかったが、移植後2年10ヶ月目に、血清クレアチニン値が1.6mg/dlまで上昇したため、6回目の腎生検を行った。腎生検組織学的検査では、間質の繊維化と糸球体の硬化が著明であった。移植後早期の蛋白尿、2年目以降の腎機能悪化の原因について組織学的に検討したい。

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