腎移植後急性拒絶反応によりHUSを発症した一例

東京女子医科大学 泌尿器科
* 田邉 一成、徳本 直彦、新村 浩明、石田 英樹、東間  紘
慈恵医科大学柏病院 病理
山口  裕

 患者は57才、女性。one haplotype identicalの娘をドナーとして、生体腎移植術をうけ、免疫抑制はタクロリムス、メチルプレドニソロン、ミコフェノール酸モフェチールの三剤を用いた。術後6日目に、発熱とともに急激な尿量の減少を認めたため拒絶反応と診断し、ステロイドパルス療法を行ったが、効果なく術後8日目よりOKT3の投与を行った。術後12日目には急速に血小板の減少、貧血の進行を認め、HUSと診断した。このころより、蛋白尿の出現を認たため、腎生検を行ったところ、HUSの診断であった。その後、血清クレアチニン値は1.0mg/dlと正常であるが、蛋白尿は2g/日を超えるため再度腎生検を行ったところFGS様の硬化性病変が進行していた。拒絶反応を契機として、HUSを発症し、その後FGS様の病理組織像を呈した一例を経験したので報告する。

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