ABO不一致腎移植症例における移植腎生検の病理組織学的検討

東京女子医科大学腎センター 泌尿器科
* 清水 朋一、田邉 一成、徳本 直彦、石田 英樹、新村 浩明
古賀 祥司、東間  紘
いわき泌尿器科
川口  洋、常盤 俊士
戸田中央総合病院 泌尿器科
後藤 友紀子、奥田 比佐志
東京慈恵医大柏病院 病理
山口  裕

【緒言】 ABO不一致腎移植症例における移植腎生検について病理組織学的に検討した。

対象:1999年9月〜2000年12月に東京女子医大腎センターで施行したABO不一致腎移植45症例において、1999年9月〜2001年4月に当施設及び関連施設にて施行した127回の移植腎生検を対象とした。生体腎・死体腎が44例・1例であった。男性・女性は28・17例で、レシピエント・ドナーの平均年齢は32.6・53.1歳であった。主たる免疫抑制剤はシクロスポリン・タクロリムスが14・31例であった。血液型の組み合わせでは、0型→A型(Group 1)が13例、0型→B型(Group 2)9例、0型→AB型(Group 3)2例、A型→AB型(Group 4)9例、B型→AB型(Group 5)12例であった。127回の移植腎生検のうち、0hour・1hour 生検は47回、エピソード生検は74回、プロトコール生検は6回であった。

【結果】 急性拒絶反応は18症例(40%)に37回の移植腎生検に認めた。急性液性拒絶反応は14例(31%)に19回認め、急性細胞性拒絶反応との合併が6例に7回認めた。急性細胞性拒絶反応のみは9例(20%)に18回認めた。慢性拒絶反応は6例に12回認めた。タクロリムス急性・慢性腎毒性はそれぞれ6例に7回、4例に4回であった。シクロスポリン急性・慢性腎毒性はそれぞれ1例に1回ずつであった。Thrombotic microangiopathyと慢性移植腎症はそれぞれ3例に5回認めた。血液型の組み合わせと急性拒絶反応の関連では、Group 4では9例中7例(78%)に急性拒絶反応を認め、そのうち6例は急性液性拒絶反応であった。Group 1では6例(46%)に急性拒絶反応を認め、Group 5では4例(33%)に、Group 2 では1例(11%)に認めた。Group 3では症例数は少ないが急性拒絶反応は認められなかった。
【結論】 ABO不一致腎移植における急性拒絶反応の発症率は、ABO不適合腎移植よりも少なく、良好であった。しかしABO不適合生体腎移植と同様に急性液性拒絶反応が多かった。また血液型の組み合わせにより急性拒絶反応の発症率に差があり、血液型の組み合わせによっては移植後留意する必要がある。

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