移植後20年生検症例の検討

京都府立医科大学 移植・内分泌外科
* 岡本 雅彦、秋岡 清一、昇  修治、樋口 濃史、門谷 弥生
牛込 秀隆、中村 憲司、大森 吉弘、吉村 了勇

 当施設で腎移植を行い移植後20年以上生着した症例のうち20年定期生検を行った4例につき組織所見とその後の腎機能の推移につき比較検討した。
4症例の移植時年齢は10歳から31歳ですべて両親からの生体腎移植症例、提供時のドナー年齢は42歳から61歳であった。いずれも急性拒絶の既往はなく、アザチオプリンまたはミゾリビンとステロイドで維持されており、カルシニューリンインヒビターの使用歴はなかった。また移植後20年時点での血清Crは、0.8-1.2mg/dlと良好であった。20年生検の組織像は良好な腎機能にもかかわらず、いずれも種々の程度の糸球体の硬化閉塞、細動脈壁の肥厚、間質の繊維化、尿細管密度の低下を認めた。4例中2例は24年、26年5ヶ月経過するも良好な腎機能(血清Cr 1.3、1.4mg/dl)で生着中であるが、他の2例は腎機能が低下し1例は29年3ヶ月で透析再導入、1例は25年10ヶ月経過で血清Crが3.0mg/dlと上昇している。腎機能が低下した2例では20年生検の時点で良好例に比べ糸球体の硬化、細動脈壁の肥厚が強い傾向が見られた。

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