慢性拒絶反応とβ6およびTGFβの関与の検討

東京女子医科大学 腎センター外科
* 甲斐 耕太郎、阿部 正浩、澤田 登起彦、中島 一朗
渕之上 昌平、寺岡  慧
東京女子医科大学 腎センター病理検査室
堀田  茂
東京女子医科大学 腎センター泌尿器科
田辺 一成、東間  紘
東京慈恵医科大学柏病院 病理
山口  裕

【はじめに】
間質の繊維化は慢性拒絶反応の組織学的所見の大きな一つの特徴である。そこで繊維化に関与していると考えられているβ6およびTGFβの発現を、腎移植後の慢性拒絶反応において検討した。
【対象および方法】
症例は当施設において行われた生体腎移植症例で、光顕上chronic allograft nephropatyと診断された17症例である。凍結切片を使用しβ6およびTGFβの免疫染色を行った。x400の3視野以上で尿細管を数え、うち陽性の数を%で表した。
【結果】 β6と組織の繊維化の程度およびクレアチニンの値は正の相関を認めた。β6の発現は主に、遠位系で萎縮した尿細管に認められた。一方TGFβの発現は、全症例でその繊維化の程度およびクレアチニンの値に相関なく60%以上の尿細管に認められた。
【結論】 腎移植後の組織の繊維化にβ6およびTGFβが関与している事が示唆された。特にβ6は繊維化の程度およびクレアチニンの値に相関しており、病態を把握するうえで発現の程度をしることは重要であると考えられる。

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