Blue kidneyを移植した献腎移植の一例

九州大学大学院 臨床・腫瘍外科
* 杉谷  篤、本山 健太郎、山元 啓文、井上 重隆、岡部 安博
大田 守仁、吉田 淳一、田中 雅夫
同 腎疾患治療部
升谷 耕介、平方 秀樹
原三信病院 呉服町診療所
片淵 律子

 心停止下献腎移植を行うとき、graft viabilityを予想することは誰しも困難に思う。今回、我々は肉眼的に潅流状態の悪いと思われた腎臓を移植し、良好な結果を得たので検討を加えた。ドナーは28歳男性。頭部外傷による急性硬膜外血腫で開頭術を受けたが、5日後に蘇生不能と判断され心停止下腎提供のドナーとなった。摘出1日前に血尿があってその後、無尿となり、Cr3.8mg/dlであった。不意の心停止のため、心マッサージをしながらヘパリンを投与した。WIT10分で動脈内潅流を開始し、両側腎をen-blocで摘出した。動脈から潅流すると静脈から潅流液が流出したが、肉眼的に両腎ともBlue kidneyであった。0hr生検の所見では、尿細管にフィブリンを認めたが、糸球体、血管内に血栓はなかったので移植を決断した。再潅流後、腎実質の血流は良好で、少量の初尿を観察した。尿管内からフィブリン栓を除去した。9日目のプロトコール生検はATNで、21日目に透析離脱した。その後徐々にCrは改善し、59日目にCr1.2mg/dlで軽快退院した。対側腎も良好な経過を示していた。

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