ABO不適合移植術後早期に急性細胞性拒絶および液性拒絶の合併が疑われた症例

市立札幌病院 病理科
* 小川 弥生、佐藤 英俊、田原 正彦、高田 明生、新村 浩明
古賀 祥司
同 腎移植科
原田  浩、三浦 正義、平野 哲夫

 症例は30歳女性、慢性腎不全にて24ヶ月の血液透析を経て,母親をドナーにABO不適合生体腎移植術(B(+)-O(+))を施行した.初期免疫抑制はTAC+MMF+PDで行い,術前に4回の血漿交換で,抗B抗体値はIgG 2倍,IgM 1倍であった.術後順調に経過するも,移植後6日目から血清クレアチニンが上昇し,8日目には1.6mg/dlに上昇し,腎生検で急性細胞性拒絶と液性拒絶の合併が疑われた。血漿交換1回およびMP+DSG治療にて血清クレアチニンは1.1mg/dlまで改善したが,27日目に再び1.4mg/dlに上昇し,生検組織にてborderline rejectionの所見であったため,MPZパルス療法を施行した.移植8日目の腎生検病理組織を供覧する.光顕上間質には25%以下の範囲でリンパ球浸潤が認められ,同部位ではtubulitisの所見とintimal arteritisの像を認め,急性細胞性拒絶の所見(fig.1,2)と考えた.蛍光抗体法ではfocalにperitubular capillaryに軽度のC3, IgAの陽性像が認められた(fig.3).急性細胞性拒絶および液性拒絶の合併と考えてよいか御教授下さい.


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