C4d陽性沈着と補体制御因子CD59との関連

新潟大学医学部附属病院 血液浄化療法部
* 西  慎一
新潟大学大学院 医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学分野
今井 直史、上野 光博、伊藤 洋輔、深瀬 幸子、森  穂波
Alchi Bassam、荒川 正昭、下条 文武
新潟大学大学院 医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野
斉藤 和英、高橋 公太

【研究背景】
液性拒絶反応の病理指標として、PTCへのC4d沈着が注目されている。しかし、その沈着機序は未だ解明されていない。
【研究目的
PTCには補体制御因子CD59が正常腎で発現している。PTCにおけるC4dの沈着とこの補体制御因子CD59発現との関連を検討した。
【研究方法】
急性拒絶反応症例10例(AR)、正常コンロール10例(C)を対象とした。蛍光抗体法によりC4d、CD59の局在を検討した。
【結果】 AR群の3例がPTCにC4d陽性を示した。CD59はC群においては、全例PTC上に発現が確認された。AR群に関する検討でもC4d陽性を示す3例を含めてCD59は全例PTC上の発現がありその変化は認められなかった。
【考察】 CD59は補体活性経路において、補体制御因子としてC4d形成後の過程で働く。従来、正常腎ではPTCに一致して存在することが知られており、C4d形成症例ではその局在あるいは発現の変化が予想された。しかし、今回の組織学的研究では、C4d形成後にCD59の局在、発現ともに影響が認めらなかった。少なくとも、C4d形成後の補体活性経路に異常があることは確認できなかった。一方、一般的にC4d形成以前の補体活性に関与するIgG、C3などの沈着もPTC上には確認されない。従って、現在のところC4d形成、沈着前後の補体活性経路の賦活化あるいは障害を示す組織学的証拠は確認できない。

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