ABO血液型不適合腎移植後の抗体関連型拒絶反応と傍尿細管C4d沈着の意義を考え直す

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 両角 國男、武田 朝美、大塚 康洋、小野田 宏、及川  理
植木 常雄、後藤 憲彦、松岡  慎、片山 昭男、幅  俊人
冨永 芳博、打田 和治

【背景と研究目的】
抗体関連型拒絶反応の診断には、血中抗ドナー抗体の存在と傍尿細管毛細血管へのC4d沈着に移植腎機能障害+特徴的病理所見が重要である。しかし、近年、傍尿細管毛細血管へのC4d沈着の意義に関し論議がある。今回、ABO血液型不適合腎移植後の生検組織でのC4d沈着の意義につき考えてみた。
【対象と方法】
当院にABO血液型不適合腎移植を受けた40症例の腎移植後腎生検で、腎生検時の拒絶反応の有無と種類(抗体関連型、抗体関連型+細胞型の混合型、細胞性拒絶反応、拒絶反応なし)および移植後6ヶ月以降のプロトコール腎生検時につき解析した。C4d沈着のパターンはびまん性に強く染色されるものを陽性とした。巣状陽性またはびまん性に弱く染色されるものを擬陽性に、その他を陰性にした。
【結果】 40症例の経過中に抗体関連型液性拒絶反応による移植腎喪失は1例もなかった。臨床所見と光顕所見より急性抗体関連型液性拒絶反応と診断例は全てC4d陽性であった。また、混合型と診断した抗体関連型急性拒絶反応も例外なくC4d陽性であった。一方、細胞型拒絶と診断した例の約4%、拒絶反応を認めない例でも30%はC4d陽性であった。さらに、C4dの擬陽性を含めればC4d沈着例は多く存在した。一方、移植後6ヶ月以降の生検においてもC4d擬陽性例が多く観察された。しかし、臨床的には腎機能低下はなく、光顕所見からも拒絶反応はなかった。
 傍尿細管毛細血管へのC4d沈着は臨床病理学的に明らかな抗体関連型急性拒絶反応では100%陽性で有用である。しかし、臨床的に病理学的に抗体関連型拒絶反応のない際のC4d沈着の意義は慎重に判断する必要があり、安易にaccommodationと評価すべきでなくさらに検討する必要がある。

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