内視鏡視下摘出ドナー腎の病理組織学的検討

いわき泌尿器科
* 清水 朋一、川口  洋、常盤 峻士
東京女子医科大学 泌尿器科
田邊 一成、石田 英樹、徳本 直彦、 宮元 直志、新村 浩明
東間  紘
東京慈恵医大柏病院 病理
山口  裕

今回、内視鏡視下摘出ドナー腎の障害について0 hour biopsyを用いて病理組織学的に検討した。

【対象】 1999年12月より2002年11月までに東京女子医大泌尿器科において施行した内視鏡視下ドナー腎摘出術(LDN) 65症例の0 hour biopsyを対象とした。ドナーの年齢は平均で56歳、男性17例、女性46例であった。65例のうち、後腹膜鏡視下ドナー腎摘出術(RPLDN)は55例、ハンドアシスト腹腔鏡視下ドナー腎摘出術(HALDN)は10例であった。また2001年1月から6月までに施行した開腹ドナー腎摘出術(ODN)43例の0 hour biopsyを対照として用いた。
【結果】 ODNでは認められず、LDNで認めた病理組織学的変化として、被膜内の出血とフィブリン析出を特徴とするcapsular damage (CD)と、被膜下の尿細管の変性・壊死、糸球体のうっ血、間質出血を特徴とした subcapsular cortical damage (SCCD)があった。CD とSCCDは、LDNの0 hour biopsyの35検体(54%)あった。CD とSCCDの程度としてはHALDN例の検体の方が、RPLDN例の検体よりも重度なものが多く認められた。動脈硬化と細動脈の硝子化の程度、尿細管委縮率、糸球体硬化率は、ODN、HALDN、RPLDNの3群では差は認められなかった。
【結論】 内視鏡視下摘出ドナー腎に特徴的な病理組織学的変化としてcapsular damageとsubcapsular cortical damageがあり注意が必要と思われた。

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