移植腎におけるperitubular capillaritisの意義

虎の門病院 病理部
* 相田 久美
東京慈恵会医科大学柏病院 病理部
山口  裕
東京女子医大腎臓病総合医療センター 病理
堀田  茂、大野 真由子
東京女子医科大学 泌尿器科
田辺 一成、淵之上 昌平、寺岡  慧、東間  紘

【目的】  移植腎において、peritubular capillaritis(PTCitis)は細胞性および抗体関連型拒絶、虚血に伴う急性尿細管壊死、感染等の様々な病態により出現する。それぞれの病態におけるPTCitisの出現様式や程度、更に長期的な予後、組織像の変化への関与を明らかにする。
【方法】  対象は、移植後早期にPTCitisを認め、2年以上の経過観察が可能であった39例。初回生検の病理組織診断によって、1)細胞性拒絶群15例、2)抗体関連拒絶群6例、3)細胞性+抗体関連拒絶群2例、4)その他16例に分類し、その後の臨床経過、病理組織像の変化について比較検討した。
【結果】  初回生検では、2)群および3)群でPTCitisの程度が強かった。1)群ではPTCitisは経過中に消退傾向を示し、慢性拒絶への移行は20%に止まった。2)3)群ではPTCitisの増強が見られ、75%が慢性拒絶に移行した。4)群では、初回生検で拒絶が認められなかったにも関わらず、移植後6ヶ月以降に56%に細胞性または抗体関連型拒絶が出現し、38%が慢性拒絶に移行した。
【結語】  PTCitisの増悪・遷延は慢性拒絶例で顕著である。また、移植後早期に組織学的に拒絶を認めなくても、PTCitisが存在すれば後に慢性拒絶に移行する可能性が高く、継続した経過観察が必要と思われる。

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