高度の形質細胞浸潤により移植腎機能廃絶に至った症例

筑波大学 人間総合科学研究科 分子情報・生体統御医学専攻分子病理学分野
* 鈴木 大成、長田 道夫
筑波大学 人間総合科学研究科 機能制御医学専攻消化器外科学分野
福沢 淳也、湯沢 賢治、大河内 信弘

 59歳男性。3年間のCAPDの後、1999年11月に死体腎移植を受けた。CYA、PSLでCre 1.2mg/dl程度を維持していた。2002年12月になり全身倦怠感出現し、12月10日、Cre 2.3mg/dlと上昇を認め、移植腎生検を施行した。高度の細胞浸潤を認めたが、その主体は形質細胞であり、リンパ球による尿細管炎も認められた。拒絶反応は否定的であったが、3日間のMPSパルス療法を施行した。効果なく、DSGを10日間投与したが、Cre 2.3mg/dlと変わらなかった。2003年1月6日の移植腎生検では、間質の形質細胞浸潤がかなり軽減したものの、浮腫を伴う線維化が見られ、細動脈の肥厚と内腔の狭窄が見られた。原因は明らかにならなかったが、腎機能がCre 2.4mg/dl程度で安定したため、外来通院とした。2月下旬よりCre上昇を認め、3月20日Cre 8.5mg/dlとなり、内シャント造設し、腎生検施行。間質に高度の形質細胞浸潤を認めた。同日より血液透析導入となった。本症例の経過を病理標本とともに供覧し、検討したい。


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