バジリキシマブ使用腎移植例での急性拒絶反応の検討

名古屋第二赤十字病 院腎臓病総合医療センター
* 武田 朝美、畠中 健策、小野田 浩、堀家 敬司、後藤 憲彦
佐藤 哲彦、松岡  慎、片山 昭男、幅  俊人、冨永 芳博
打田 和治、両角 國男

 2000年以降の当センターでの生体腎移植生着率をみると、ABO不適合や夫婦間移植などハイリスク例が増加しているにもかかわらず1年で100%、4年で99%と中期成績まで飛躍的に向上してきている。免疫抑制療法の進歩とオーダーメイド化により急性拒絶反応の減少と更なる軽症化によるものと考えられる。 2002年5月からはバジリキシマブを使用開始してこれまでに47例を経験した。その臨床経過と移植腎生検での急性拒絶反応像を検討した。 免疫抑制法はカルシニューリンインヒビター(タクロリムスまたは、ネオーラル)、プレドニゾロン、MMF, バジリキシマブの4剤を基本とした。CNIとしてタクロリムスを使用 したのが9例(TAC群)、ネオーラルを使用したのが36例(NEO群)であった。 急性拒絶反応を病理学的に診断したものは16例あり、TAC群で1例(episode Bx:IB=1)、NEO群で15例(episode Bx:BL=1, IA=3, IB=1; protocol Bx: BL=4, IA=4, IB=1, IIA=1) だった。エピソード生検での急性拒絶反応は30から105日目で診断され、プロトコル生検は退院前(移植後30-50日)と6ヶ月後、1年後で施行しており、退院前生検で6例、6ヶ月生検で4例の急性拒絶反応を診断した。移植後1ヶ月内の急性拒絶反応はなかった。 残念ながらボーダーライン以上の急性拒絶反応診断率は34%と高い頻度だったが、そのうちの70%がプロトコル生検での診断であり、顕性化前の急性拒絶反応診断治療が重要であった。

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