ABO血液型不適合臓器移植におけるAccommodation(免疫学的順応)成立のメカニズム

新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野
* 高橋 公太

 ABO血液型不適合臓器移植が成功すると、Accommodationが成立したので生着したのだと強調する。しかし、このような裏づけや根拠のないことを言っている限り、Accommodationの本質である「なぜABO血液型不適合graftが生着するのか?」の解決策になっていない。そもそもいったいAccommodationとはどのような状態を指すのか、きわめて曖昧な用語で、graftの生着メカニズムをごまかすにはきわめて都合の良い用語である。このような用語を使用してきたため、生着のメカニズムについてこの半世紀ほとんどの進歩がみられなかった。
Accommodationの成立には、移植後、移植臓器のABO組織−血液遺伝子の産物である糖転移酵素の産生が抑制され、それに支配されているABO組織−血液型抗原の抗原性が低下することよりにより抗原抗体反応、すなわち、Delayed hyperacute rejectionの発生が抑制されることが条件であり、その結果、移植腎が生着する。
 今回は、ABO血液型不適合腎移植におけるDelayed hyperacute rejectionの発生メカニズムとAccommodationの成立メカニズムについて紹介したい。

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