生体腎移植後第一病日に発症した細胞性拒絶の一例

国立病院機構千葉東病院 外科
* 丸山 通広、剣持  敬、西郷 健一、圷  尚武、岩下  力
大月 和宣
同 臨床研究センター 免疫病理研究部
北村 博司、城  謙輔

 患者は52歳男性、2型糖尿病性腎症にて平成3年12月23日血液透析導入。平成17年4月6日、49歳の妻をドナーとする生体腎移植施行。血液型O型からA型への異型適合移植。HLAはAB3ミスマッチ、DR2ミスマッチ。リンパ球クロスマッチ陰性。WIT 4分、TIT 51分。血流再開後48分にて初尿を認め、帰室後も100ml/h以上の利尿がみられていた。免疫抑制剤はCyA+PSL+MMF+basiliximabを使用。第1回1hr腎生検にて異常なかった。第1病日から徐々に尿量の低下を認め、ドップラーエコーにて末梢血管抵抗値の軽度上昇を認めた。第2病日でほぼ無尿となり末梢血管抵抗値がさらに上昇し、動脈血流の途絶を認め、血清クレアチニンが8.7mg/dlと上昇したため急性拒絶反応を疑い第2回生検を施行。組織像はBanff分類1A(t2,i2,g0,ah0,v0)で、炎症細胞は幼若リンパ球が主体であ った。 ソルメドロール500mgx5日間のステロイドパルス施行。その後次第に利尿がみられ、第8病日には尿量1000mlを超え、術後3回の透析にて離脱。その後の経過は良好であり、術後1ヶ月後のクレアチニンは1.22mg/dlである。第37病日に第3回生検を施行。組織像に著明な改善が見られ、間質の炎症細胞浸潤や尿細管炎も消失していた。以上、生体腎移植後第2病日に組織学的に細胞性拒絶が疑われたまれな症例を報告する。


戻 る  ページの先頭