抗体関連型拒絶反応を認め、低容量Rituximab投与と血漿交換併用にて改善を示した献腎移植の一例

北里大学医学部 腎臓内科
* 竹内 康雄
北里大学医学部 泌尿器科
吉田 一成、若井 陽希
北里大学医療衛生学部 免疫学
小幡 文弥
聖マリアンナ医科大学医学部 病理学
小池 淳樹

 38歳、男性。平成4年、母親をドナーとして生体腎移植を受けたが平成6年、透析再導入。平成18年、献腎移植(二次移植)施行。術前クロスマッチB cell warm陽性。免疫抑制剤はステロイド、タクロリムス(血中トラフ値10-12ng/ml)、MMF(1000mg/日)を投与。術後、尿量増加が得られず第22病日に腎生検施行。組織所見、フローサイトメトリー法による血清中抗HLA抗体陽性所見等から抗体関連型拒絶反応(AMR)と診断された。治療として血漿交換(PE)3回施行。尿量増加し血清Cr1.5mg/dlまで改善した。その後血清Cr2.7mg/dlへと上昇したため第62病日に再度腎生検施行。再びAMRと診断されステロイドパルス療法、PE5回およびRituximab(100mg)点滴静注施行。腎機能は改善し第90病日に血清Cr 1.4mg/dlにて退院。現在まで腎機能悪化は認めず、腎生検所見、血清中抗 HLA抗体価は改善した状態を維持している。低容量Rituximab投与とPE併用はAMRの治療として有用と考えられた。


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